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TOPICS2022/05/12

有給休暇の申請はいつまでに出せば良いか

 有給休暇の申請をいつまでに会社に提出するか、就業規則にはどのように書かれていますか?「〇日前までに申請する」と定めているケースが多いと思います。では申請期限を過ぎてから申請があった場合や、当日の朝に突然「休みます」と連絡があった場合、この申請は認められるでしょうか。


  有給休暇の法規定


 労働基準法第39条第5項
 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

 労働基準法ではこのように規定されています。有給休暇は労働者の権利として付与されており、それをいつ、どのような理由で使用するかは労働者の自由です。会社は労働者が請求する日に有給休暇を与えなければならず、取得理由によって判断したり、上司の承認を必要とすることは認められません。


  時季変更権

 請求された有給休暇の時季を会社が変更できるのは、労基法39条にあるとおり「事業の正常な運営を妨げる場合」だけです。代替要員を探したが見つからず、その労働者がいなければ業務に支障が出る場合です。単に繁忙期で休まれては困るとか、会議があるからという理由では認められません。

 また、有給休暇の利用目的によって有給取得を拒むことはできません。有給休暇申請書に利用目的の記入欄を設けている会社も多いと思いますが、記入はあくまで任意であり、たとえ利用目的欄が未記入であっても有給取得を認めなければなりません。また、利用目的が虚偽だった場合、例えば通院のためと申請していたが、実は旅行に行っていたことが会社にバレたとしても、その有給休暇を取り消すことはできません。(※虚偽申請による懲罰は可)

 では有給休暇の利用目的が必要になるのはどのような場合でしょうか。同じ日に複数の労働者から有給休暇申請があり、全員の申請を認めると事業に支障が出るため、その利用目的の内容で時季変更権の対象者を検討する場合などが該当します。このようなときに利用目的欄の記入を求めることは、合理性・必要性があるので認められます。

 このように、会社が時季変更権を行使するのはとてもハードルが高いです。そこで会社としては「時季変更のお願い」で対応することになるでしょう。労働者からの有給休暇申請に対し、上司が「その日は忙しいので変更してくれないか」と頼むことは、よくあるのではないでしょうか。このお願いを受け入れるか断るか、労働者が自由に選べるのであれば問題ありませんが、断りにくい状況があるとパワハラにもなりかねませんのでご注意ください。また、労働者がこのお願いを断ったとしても、それを理由に評価を下げる等の不利益な取り扱いをすることは不可です。


  申請期限

 有給休暇の申請期限について、法的に明確な定めはありません。業務に支障がない範囲で申請期限を就業規則で定めましょう。業務上の必要性があまりないにも関わらず、申請期限を一ヵ月前などとすることは、公序良俗違反となり認められる可能性は低いでしょう。


  申請期限後の申請

 申請期限を過ぎた後で出された事後申請は認められるでしょうか。申請期限後~有給取得前日までの申請であれば、認めざるを得ないでしょう。慣例として認めている会社も多いと思いますが、どういった場合に認めているか(例えば通院、忌引き等)、就業規則に明記することでトラブルを防止できます。


  当日の申請

 当日の朝に電話で「今日休みます」と連絡があった場合はどうでしょう。有給休暇における一日とは暦日、0時~24時が一日の単位になります(交代勤務制の場合などは除きます)。所定就業時間(例えば9時~18時)の休みではないのです。当日の朝9時に休暇申請をしても、すでにその日の0時を過ぎてからの請求なので、事後の休暇請求ということになります。この事後請求を認めるか否かは会社の判断に委ねられます。事後請求は認めず欠勤としても違法にはなりません。しかし現実には、急な体調不良などやむを得ない事情であれば認めている会社も多いでしょう。労働者のモチベーションを考慮すると柔軟な対応をするほうが会社にとってもメリットがあると思います。事後請求を認めるケースについても就業規則に明記しておきましょう。

 しかし会社としても当日連絡の休暇が多いのは困ります。対策としては、事後請求の場合は証明するものを提出させることが考えられます。病気であれば病院の領収書のコピー、忌引きであれば葬儀の日時がわかるもの等です。しかし頻繁に当日連絡の休暇をする労働者がいる場合、なにか別の問題があるかも知れません。上司が面談等で休暇の理由について聞いてみることをお勧めします。