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TOPICS2025/2/28
【2025年施行】育児・介護休業法 改正のポイント① 子の看護等休暇など
2024年5月に法改正が成立し、2025年4月から段階的に施行される育児・介護休業法について取り上げます。2021年の法改正では、男性の育児休業の取得推進など、休業を取得しやすい環境整備や従業員への個別の周知・意向確認などが義務化されました。今回の法改正では、育児休業を取得して職場復帰後、仕事と育児(または介護)の両立に重点が置かれています。法改正のポイントと企業の取るべき対応について解説いたします。
2025年4月1日施行 育児関連の改正ポイント
①子の看護休暇の見直し

対象となる子の範囲が拡大し、「小学校第3学年修了(9歳に達する日以後の最初の3月31日)まで」となりました。また、取得事由に「感染症に伴う学級閉鎖」「入園(入学)式、卒園式」が加わりました。これに伴い名称も「子の看護等休暇」に変更になりました。
企業の対応としては、就業規則(育児介護休業規程)の子の看護休暇に関する項目を変更する必要があります。また、労使協定で「継続雇用期間6か月未満」の労働者を除外している場合、今回の法改正で撤廃されましたので、労使協定を見直す必要があります。入学式や卒園式などの行事が休暇対象になりましたが、授業参観や運動会は法的には対象外になります。法律でカバーされない行事に対して、企業の特別休暇として「子の行事休暇」の導入を検討してみるのもいいでしょう。
子の看護等休暇は1日または時間単位で取得することができます。時間単位での取得では、始業・終業の時刻に連続しない時間単位(いわゆる「中抜け」)での取得を認めるなど、弾力的な利用が可能となるように配慮することが指針で示されています(指針第2の2(4))。
②所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

所定外労働の免除を請求できる労働者の範囲が「小学校就学前の子を養育する労働者」に拡大されました。事業主は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させることはできません。この請求は、1回につき1か月以上1年以内の期間で残業免除が受けられます。請求回数の制限はありませんので、何回でも請求できます。
企業の対応としては、就業規則等を変更する必要があります。労使協定は改正されていませんので、これまで通り「勤続1年未満の労働者」「週の所定労働日数が2日以下の労働者」を対象外とすることができます。なお、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者は、労働時間等の規定の適用を受けないため、この所定外労働の制限も対象外となります。
時間外労働の制限(残業制限)、深夜業の制限は法改正はありませんので、これまで通りになります。時間外労働の制限(残業制限)は1回の請求につき1月以上1年以内の期間で、月24時間、年150時間以上の時間外労働が制限が制限されます。深夜業制限は1回の請求につき1月以上6月以内の期間で深夜業(22~5時)が制限されます。いずれの請求も何度でも請求可能ですが、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒むことができます。
※「所定外労働」は企業が就業規則・雇用契約書等で定めた労働時間を超える労働時間です。「時間外労働」は法定労働時間(原則1日8時間、1週間で40時間)を超える労働時間です。
③短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク等を追加

3歳に満たない子を養育する労働者が、希望すれば利用できる短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とする制度)を設けることが育児介護休業法23条で定められています。この短時間勤務制度が困難な場合は、代替措置としてフレックスタイム制や時差出勤制度等の導入がありましたが、その選択肢に「テレワーク等」が追加されました。
テレワーク「等」としているのは、「情報通信技術を利用しない事業場外勤務」も想定しているとのことです(令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A Q2-10)。また、「テレワーク等」についてはフルタイムを前提とし、自宅以外のサテライトオフィス等(会社が認めている場合)の勤務も含まれます。
「テレワーク等」を選択する場合は就業規則・労使協定の見直しが必要になります。代替措置としてテレワーク等が可能な職種である場合に選択できるものとされています。労働者をテレワーク等が可能な職種へ配置転換することや、テレワーク等ができる職種を新たに設けることまでは求められていません。
④育児のためのテレワーク等の導入(努力義務)
3歳に満たない子を養育する労働者がテレワーク等をできる措置を講ずることが努力義務になりました。③の代替措置とは異なる制度で、0歳~3歳の子を養育する労働者がテレワーク等により通勤時間を削減し、仕事と育児の両立を容易にする趣旨で設けたものになります。
仕事と育児の両立のためのテレワーク導入促進助成金もあります。この機会にテレワーク導入を検討する企業は、助成金の活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか?

参考:東京しごと財団 【概要】育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金
https://www.koyokankyo.shigotozaidan.or.jp/jigyo/telework/ikukai-tele-title/ikukai-tele.html
⑤育児休業取得状況の公表義務適用拡大

男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務化される企業が、従業員数1,000人超から300人超に拡大されました。
対象となる企業は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」を、年1回、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に公表します。公表の方法はインターネットの利用その他適切な方法で、
一般の方が閲覧できるようにすることとされており、自社ホームページ等のほか、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することもできます。