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TOPICS2025/3/13

【2025年施行】育児・介護休業法 改正のポイント② 柔軟な働き方を実現するための措置など

 2025年4月から段階的に施行される育児・介護休業法について取り上げます。今回は2回目、10月に施行される育児関連の改正ポイントを取り上げます。

 

          2025年10月1日施行 育児関連の改正ポイント
 

  ①柔軟な働き方を実現するための措置等

(1)育児期の柔軟な働き方を実現するための措置

 3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、職場のニーズを把握した上で、次の5つの中から2つ以上の措置を選択して講じることが義務付けされました。

  ①始業時刻等の変更(フレックスタイム制または時差出勤の制度)
  ②テレワーク等(月10日以上、時間単位での取得可)
  ③保育施設の設置運営等(保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与をするもの(ベビーシッターの手配および費用負担など))
  ④就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与(年10日以上、時間単位での取得可)
  ⑤短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む)


 ①~④は1日の所定労働時間を変更せずに取得できる、フルタイムでの柔軟な働き方ができる措置です。対象となる労働者は日々雇用者は除かれますが、有期・無期や出勤日数等に関わらず全労働者になります。

 どの措置を講じるか選択する際、企業は「職場のニーズを把握」することが求められます。具体的には、過半数労働組合または過半数労働者代表の意見を聴く必要があります。労働者の意見を聞いた上で事業主が選択することが求められるもので、必ずしも労働者の求める措置を選択しなければならない訳ではありません。仮に労働者のニーズと異なる選択をする場合、どのような事情・理由で労働者ニーズと異なる選択をするのか、労働者に十分に説明し、納得が得られるよう努めましょう。なお、意見を求めた証拠・話し合いの議事録のようなものを残しておくことまでは求められていません。

 講じる措置が決まったら就業規則に記載します。労働者は措置の中から1つを選択して利用することができます。


(2)柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知・意向確認


 3歳に満たない子を養育する労働者に対して、子が3歳になるまでの適切な時期に、柔軟な働き方の措置や制度について個別周知し、制度利用の意向確認をすることになりました。対象となる労働者は、日々雇用者を除く全労働者です。

 周知する時期は子が「1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで」です。周知事項は上記(1)「育児期の柔軟な働き方を実現するための措置」で選択した措置(2つ以上)の内容と、所定外労働の制限(残業免除)・時間外労働・深夜業の制限に関する制度について、利用する場合の申出先も含めて周知します。周知方法は①面談、②書面交付、労働者が希望した場合は③FAX、④電子メール等となっています。現実的には対象労働者と個別に面談し、書面で制度を説明・意向確認するということになるかと思います。


  ②仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮


(1)妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の個別の意向聴取


 労働者から①本人又は配偶者の妊娠・出産等の申出があったときや、②子が3歳になるまでの適切な時期に、子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する「勤務時間帯や勤務地、両立支援制度等の利用期間、労働条件の見直し等」について、労働者の意向を個別に聴取することになりました。対象となる労働者は、日々雇用者を除く全労働者です。

 意向聴取する時期ですが、①でしたら「育児休業制度の個別周知・意向確認」、②でしたら上記「柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知・意向確認」と一緒のタイミングで行うことも可能です。指針では、家庭や仕事の状況が変化する場合もありますので、意向聴取は「育児休業後の復帰時」や「労働者から申出があった際」など機を捉えて定期的に行うことが望ましいとされています。

                                   厚生労働省「令和6年改正法の概要」より


(2)聴取した労働者の意向についての配慮

 上記「妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の個別の意向聴取」で聴取した労働者の仕事と育児の両立に関する意向について、企業は配慮する義務があります。勤務時間帯、業務量の調整など自社の状況に合わせて、可能な 範囲で労働者の意向に配慮してください。労働者の意向に沿った対応が困難な場合もあるかと思います。そのような場合は、困難な理由を労働者に説明するなどの丁寧な対応を行いましょう。
 指針では、さらに望ましい対応として、子に障害がある場合には短時間勤務制度や子の看護等休暇等の利用可能期間を延長すること、ひとり親家庭の場合には子の看護等休暇等の付与日数に配慮することが示されています。ふたり親家庭であれば、子1人に対して父母それぞれに子の看護等休暇が年5日(ふたりで10日)付与されますが、ひとり親家庭では年5日の付与であるため、付与日数を増やすことが考えられます。