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TOPICS2025/3/26
【2025年施行】育児・介護休業法 改正のポイント④ 介護休業の改正ポイント
2025年4月1日から施行される育児・介護休業法の中から、今回は介護休業の改正ポイントを取り上げます。
①常時介護を必要とする状態に関する判断基準の見直し
介護休業は、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある「対象家族」を介護するためにする休業をいいます。「対象家族」は、配偶者(事実婚含む)、父母、子(養子含む)、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫で、同居の有無は問いません。「常時介護を必要とする状態」の判断基準は、以前は判断が難しい場合があったため見直しが行われました。新たな基準は以下になります。
「常時介護を必要とする状態」とは、以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合であること。
(1) 項目①~⑫のうち、状態「2」が2つ以上または「3」が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続
すると認められること。
(2) 介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。


厚生労働省「育児・介護休業法令和6年(2024年)改正内容の解説」より
②介護両立支援制度等を取得しやすい雇用環境整備の措置
介護離職を防止するため、介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるよう、以下のいずれかの措置を講じることが義務化されました。
① 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
② 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
①「研修の実施」については全労働者を対象とすることが望ましいですが、少なくとも管理職は全員受講を必須としましょう。③「事例の収集・提供」は、自社の介護休業・介護両立支援制度等の取得事例を収集し、その事例を掲載した文書等の配布やイントラネットへの掲載等を行い、労働者が閲覧できるようにします。指針では①~④の複数の措置を講じることが望ましいとしています。
③介護両立支援制度等の個別の周知・意向確認、早期の情報提供
(1)介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認
介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、介護休業制度等に関する事項の周知と介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を、個別に行うことが義務になりました。

個別周知・意向確認の対象となる労働者は、日々雇用者を除き、有期雇用労働者も含む全労働者です。周知する介護休業制度としては、介護休業は93日で3回に分割して取得できること、介護の体制を構築するため一定期間休業する場合に対応するものであること等があります。介護両立支援制度等については、「介護休暇に関する制度」「所定外労働の制限に関する制度」「時間外労働の制限に関する制度」「深夜業の制限に関する制度」「所定労働時間の短縮等の措置」があります。介護休業期間中は、育児休業期間中と異なり、社会保険料の免除がないことも周知するとよいでしょう。
(2)介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供
労働者が介護保険料の徴収対象になるタイミングで、介護休業および介護両立支援制度等に関する情報提供をすることが義務化されました。介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深め、仕事と介護の両立支援制度を十分活用できないまま介護離職になることを防ぐ目的があります。

情報提供の対象となる労働者は、日々雇用者を除き、有期雇用労働者も含む全労働者です。個別で行うことは定められていませんので、対象者を集めて一斉に情報提供することも可能です。情報提供事項としては上記(1)と同内容です。介護保険料の徴収が始まりますので、介護保険制度について情報提供するのもよいでしょう。
④介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
対象家族の介護や世話をするため、1年間に5日間(対象家族が2人以上の場合は10日間)取得できる介護休暇の対象労働者が見直されました。労使協定で対象から除外している企業は、労使協定・就業規則の見直しが必要になります。

⑤介護のためのテレワーク導入(努力義務)
対象家族を介護しており、介護休業をしていない労働者がテレワーク等をできる措置を講ずることが努力義務となりました。通勤時間の削減や、要介護状態にある対象家族が遠隔地に居住している場合に家族の家から業務を行ったりすること等を通じて、仕事と介護の両立を容易にする趣旨で設けたものになります。
育児と同様にテレワーク導入促進助成金もあります。この機会にテレワーク導入を検討する企業は、助成金の活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか?

参考:東京しごと財団 【概要】育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金
https://www.koyokankyo.shigotozaidan.or.jp/jigyo/telework/ikukai-tele-title/ikukai-tele.html